『自由 民主 信仰』の世界ヘ

国際政治/アート/ビジネス 繁栄の法則とは心の精進に励み、影響力を大きくし、後世への遺産を残すこと

落合陽一さんの「デジタルネイチャー」を読んで

落合陽一さんの「デジタルネイチャー」は未来への希望溢れる素晴らしい本でした。落合陽一さんがされている仕事を多くの方に知って頂きたいです。

 

(自分自身のアウトプットも兼ねた投稿です。そして私は専門家でありませんが、行間の考察や私の意見も入っています。ご了承下さい)

 

【<自然>と<デジタル>の融合。寂びたデジタルが行き着く<新たな自然>。それは東洋文明が育んだ感性を端緒としたイノベーションになるはずだ。】←P.14からそのまま抜粋

 

自然とデジタルは相性が良いものであり、この二つの融合はイノベーションを起こすということ。また、一神教の西洋文明ではなく、万物に本質が宿ってるという東洋文明の世界観の中でこそこのイノベーションは効果が大きくなると落合さんは繰り返し述べられてます。私も本当にそう思います。

 

今日使われている「個人」や「主体」といった概念はフランスのルソー等によって確立され、現代社会の自由主義や民主主義の根幹になってます。(不明瞭な「個人」と「全体」それぞれの解釈と二つの区別は、ときにギロチンや粛正、ときに嫉妬や批判のみする人民を生んできたとも言われてますよね)

 

そんな西洋文明をそろそろ終わらそうじゃないかと、これからの時代は東洋文明だと、落合さん熱く熱く語ってます。引用されるのは荘子芭蕉、伊勢の式年遷宮、その他数々の新旧問わない文献です。数式や理科の実験、サイエンスの事例から導き出される自然界の法則も引用しているので非常に面白いです。それらを引用しながら落合さんが語るのは「あらゆる自然の中に本質が宿っている。そして自分と自然、さらには自分と他人は一体である」という空間論や「生死とは何か、永続性とは何か」という時間論です。

 

唯一神と人間』、『自分と他人』、『人間と自然』がはっきり区別される西洋文明とは違い、東洋文明には皆が神仏の子であるからこその「自他一体」、「人間と自然(世界)は一体」という価値観を持ってます。


そして東洋思想のもとにデジタルと自然が融合すれば、デジタルと人間が相互に良い影響を与え合うことは勿論、自他の境が無くなり人々が交流し合えるようになる世の中や、私たち一人ひとりは世界と(宇宙とも?)密接なんだと感じられるような世の中がやって来ると落合さんは熱く語ってます。

 

イノベーションは何を起こすのでしょうか?話はさらに飛躍します。

 

【今後は<実質>と物質、機械と人間の区別がつかない世界になる。そのとき我々に残るのは、理性や論理を超えた「宗教」に近い価値観ではないだろうか。】←P.212

ということも語ってます。真意は分かりませんが、この本の裏テーマは「時代は宗教を必要としている」なのかもしれません。勿論西洋のキリスト教文明ではありません。東洋文明の真の宗教です。

 

大変勉強になる、未来ビジョンを考えさせられる一冊でした。本当にありがとうございます!

 

ここからは完全に私の主張になりますが、、

 

真理を求めるプロセスがデジタルによってカットされたなら、簡単に真理がわかってしまう世の中になってしまうと思いますが、それは危険です。本を読む限り「悟りへのプロセス」や「人間にとっての幸福とは何か」、「そもそも宗教とは」にはあまり触れていませんでしたので、『悟りとは何か』、『人間にとっての幸福とは?』『宗教とは何か』を勉強されている方々がいらっしゃれば、デジタルネイチャーの社会の中で宗教者としてはっきりと世の中に発信しなければならない強く強く思いました。

 

デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂

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